宮司自身がパワースポット?!人と人をつなぐ“かなめ”として
ライター:小田芳美(むらメディアをつくる旅参加者)
静岡県で生まれ、同地で12年、神奈川県で22年、神職を経験された望月宮司。縁もゆかりもない川上村への移住を決心された決め手はなんだったのでしょう。
龍神様によばれた?多角経営の大きな神社から川上村の小さな神社へ
神奈川での神職を辞され、今まで出来なかった親孝行をしようと、静岡でお母様の介護をされていました。そのとき、神主の同期会の縁で丹生川上神社に行ってみないか?というおはなしが。もちろん最初は悩まれましたが、3つの決め手がありました。
そのひとつめがチャレンジ精神。
まず、元官幣大社(※)の宮司を務めるチャンスはめったにないということ。さらに、すばらしい神社なのに地元の人たちが遠のいてしまった丹生川上神社上社を立て直したい、三十年を超える豊富な経験を活かせば自分には出来る、という自信。
ふたつめは奥様の承諾と協力があったこと。
みっつめがお母様の言葉。
「呼ばれたなら行った方がいい」「私は老人ホームに入るから大丈夫」この言葉も大きな後押しとなり、望月宮司は川上村へ移住を決意されました。
ひとがこない?それなら呼ぼう!
丹生川上神社上社の宮司となられた当初、地元の方がほとんど神社を訪れないことに危機感を抱かれた望月宮司。地域住民と関わりのない神社がいずれ廃れてしまうことは、長い経験上よくご存知だったのです。
それなら、こちらから人を集めよう!と。村ぐるみでギネス記録に載るような大宴会を開催しよう!という企画も持ち上がりましたが、まずは神社の境内で「夏のビール飲み放題」に落ち着き、龍神様の許可を得て開催されました。これが大好評で村内はもちろん、村外からも大勢参加者があり、今年で5回目になるそうです。
この「夏のビール飲み放題」は、ただの宴会ではありません。参加者全員にマイクがまわされ、ひとこと“ぜったいに”しゃべるという決まりがあるのです。このすばらしいアイデアにより、知人の新しい一面を発見したり、新たな出会いがあったりと人が集まるだけでなく“つながる”場にもなっているとのこと。
みんなをまきこんで
古くから水を司る神社として信仰を集めてきた丹生川上神社。上社・中社・下社の三社が存在しますが、今まで三社は互いに交流がありませんでした。しかし、協力すればできることがある。地域と交わろう、ひとを呼ぼう!ということで宮司会を結成し、上社・中社・下社をめぐる「三社巡り」をはじめました。「三社巡り」に特別なオプションはありません。末永く続けるコツはシンプルにすることだと望月宮司はおっしゃいます。
「夏のビール飲み放題」や「観月祭」「新年賀詞交歓会」でも準備から後片付けまで、村内の人はもちろん村外の人もまきこんで開催されます。そしてお互いが顔と顔を会わせて、話す。このシンプルさが皆をまきこみ、楽しまれている理由かもしれません。
ひとと神社、ひととひとをつなげる原動力とは何か?望月宮司は“感謝”のこころだとおっしゃいます。長年過ごした神社界、家族、縁あってつながった人々への、そして神様への“感謝”のこころが望月宮司を動かし、次のつながりを生み出します。
これからの川上村と丹生川上神社上社
望月宮司は移住から5年が過ぎた今、村の不便さも楽しめるようになったとおっしゃいます。しかし、川上村にはまだ活かしきれていない所もあると感じられているようです。例えば、道の駅や宿泊施設などはもっと改善して活用を、川上村の自然のすばらしさももっとアピールをした方がいい、など。
またみんなをまきこんで、ひとがひとを呼び、その輪が大きくなっていくことでしょう。
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